| (80)ゴルフ王国静岡県の伊東〜多くの作家が愛した川奈 |
番組名:伊豆伊東のゴルフ物語 |
更新日(2020/06/25)

今年6月にスタートしたこのシリーズは、回を重ねて80回を数えた。表題の『伊東』は東京の奥座敷ともいわれ毎年、多くのゴルファーが訪れる。いわば日本のゴルフのメッカだ。日本ゴルフ協会から刊行される年鑑によると、同協会に加盟しているゴルフクラブ数は土地の広い北海道が一番多い。次いで兵庫県。静岡県の加盟クラブ数は53クラブを数える。ゴルフ場の数では関東の周辺には及ばない。だが、温泉につかってのんびりゴルフとなると伊東が一番という声が高い。冬は暖かく、夏涼しく、いいコースが沢山あるのがゴルフ王国といわれる由縁だろう。
この伊東を好んで訪れたのは昭和の時代に活躍した多くの文芸作家たちだ。その集いは青蕃会、PGAの二グループがあった。川奈の常連は杉村楚人冠、加藤武雄、細田民樹、佐々木茂索、伊藤正徳、下村海南、久米正雄、鈴木文史郎、鶴見祐輔、邦枝完二というメンバーたちがオーナーの大倉喜七郎を囲んでコースを回った。戦前、小説家として活躍した邦枝完二は、プレーした日の川奈の秋を『川奈の小春日』と、題してこんな文で纏めている。

『松林を越えた大島の煙をバックにした姿は、ミレーの絵のように美しい。なんと晴れ晴れした天気なのであろう。風もなく雲もなく、伊豆七島は指呼の間に浮いていて、これがその昔、伊豆を逃げ回った頼朝が見たとの同じ景色であるのさえ、不思議なくらいの小春日和だ。スパイクは嬉々として芝を踏んだ』
その芝こそ、ゴルフ王国の象徴と言えるだろう。また、その芝は多くのゴルファーに技術を教えてきた。日本オープンや世界のアマチュアの最高峰、世界アマ・チーム選手権の舞台にもなった。いつまでも日本のメッカであってもらいたい。半年間、ご高覧有難うございました。
《写真・遠く大島を望む川奈コースでプレーに興じる文士ゴルファーの皆さん(右上)と邦枝完二の随筆につけられた近藤浩一郎・画の大倉男爵のゴルフスイング二態(左下)》
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