| (57)「恋の片瀬」のゴルフース |
番組名:取材メモ・写真に見る日本のゴルフ史 |
更新日(2022/02/11)

流行歌手・菅原都々子のヒット曲に「江の島エレジー」があった。〽恋の片瀬の浜千鳥(大高ひさを詞、倉若晴生曲)・・・・。菅原の哀愁を帯びた声がヒット曲となり、テレビ、ラジオの歌番組でよく聞かれた。
江の島周辺は温暖な気候と海がきれいで、夏場は海水浴客で賑わう。その江の島から陸地を眺めて高台(藤沢市片瀬赤山)の一帯は、現在住宅地になっていて、その高台の周辺に昭和の初期のことだが18ホールのゴルフ場があった。鉄筋の倶楽部ハウスは宿泊設備もあり、都心から比較的交通の便がいいので、訪れるゴルファーは多かった。
ゴルフ場の主は佐藤和三郎(1902〜1980)。獅子文六原作の『大番』の主人公赤羽丑之助のモデルといわれた人物で小説の中で牛ちゃんといわれた。ある日、村の資産家の娘に恋をして印刷したラブレターを渡したことから村中のスキャンダルになり、いたたまれなくなり家出して兜町の株仲買店に就職して働いた。長い経験を積んで兜町の風雲児といわれるようになり、戦前から戦後にかけて相場師として活躍した。ゴルフを覚えて伝統ある倶楽部の会員になり、ゴルフライフを楽しんでいたが、ふとしたことから会員たちの顰蹙を買い、除名される。そこでゴルフ好きな「牛ちゃん」は、私財を投じて自分のゴルフ場を造った(片瀬3丁目周辺)。
18万坪の丘陵地に1955(昭和30)年頃、プロゴルフ界の長老だった浅見緑蔵に依頼して18ホールのコースを完成させた。所属プロに浅見の弟子だった染谷利明がいた。コースは丘陵地が下地だから平らな足場がなく、ボールは思わぬ方向に転がったりした。ビギナーには少々厄介なコースだったが、歌舞伎俳優の尾上梅幸、映画俳優の宇佐美淳也といった顔ぶれがご常連で、小高い丘の上のから眺められる江の島の風景は美しかった。
《写真・片瀬から眺望できた江の島の全景》
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