(54)ニュース映画に登場した全日本オープンゴルフ |
番組名:取材メモ・写真に見る日本のゴルフ史 |
更新日(2022/01/15)

いまはテレビ全盛期だから動画は一般的に馴染み深い。だが、映画が娯楽の主役だった時代には、映画館で上映されるニュース映画は貴重な情報源だった。ニュース映画は新聞各社の関連会社によって制作され、各映画館に配給されて上映された。そのテーマは政界の動きを主として、時の話題、地方行政の動き、スポーツなどが取り上げられていた。上映時間は10分から20分ほどで、劇映画の前に公開されていた。
そのニュース映画に、かつて日本オープンゴルフが登場したことがある。1954(昭和29)年の秋。そのタイトルは、ゴルフ界最大のエベント《全日本オープン選手権大会》となっている。そのほかの話題としてアイススケートやプロ野球が取り上げられている。プロ野球のニュースとしては《南海の首位揺るがず》といった内容で、南海対東映の17回戦の模様も取り上げられている。
このニュース映画の製作元は日本経済新聞社の関連会社だった。
この年の日本オープンゴルフは、埼玉県の東京ゴルフ倶楽部で行われ、林由郎(当時、我孫子)が2度目の優勝をとげた。この時の林は2位の小針春芳(那須)に3打の差をつけて勝っている。小針春芳は川奈出身の石井廸夫(芦屋)と同スコアで2位を分け合った。
ニュース映画のタイトルは『全日本オープン』となっているが、正しくは『日本オープン』である。当時のマスコミは日本選手権が正式の名称であるにも関わらず、その規模を大きく印象づけるために、わざわざ『全』という文字をつけて報道していた。今日も英米のオープンゴルフ選手権には『全』をつけるのは同じような流れだろうか。
《写真・1954年のニュース映画のタイトルの一場面》
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