(36)新宿御苑のゴルフコース |
番組名:取材メモ・写真に見る日本のゴルフ史 |
更新日(2021/07/29)

東京・新宿にある新宿御苑の広い敷地は、かつて長野・高遠藩のお殿様だった内藤家の用地だった。明治時代の廃藩置県で、内藤家から国に返還され、その後、農業振興のための内藤新宿試験場になり、1906(明治39)年に新宿御苑として皇室庭園になった。そして大正時代、御苑内に9ホールのゴルフコース(設計は大谷光明)が誕生した。昭和天皇が皇太子の頃、ゴルフを始められたのを機に設けられ、その後、皇后さまともお揃いでプレーを楽しまれている。
日本の皇室は、英国を範としてゴルフを採り入れていたので、昭和天皇をはじめご兄弟の秩父宮、高松宮もゴルフをなさった。
新宿門から入場して前方を見渡すと周囲は立木に囲まれ、ゆるやかな下り坂になっているため、ゴルフコースだったことが容易に想像できる。
昭和天皇は箱根の仙石や東京・駒沢にあった東京ゴルフ倶楽部でもプレーをなさったが、宮内省は一般のゴルファーとの接触を避けながら、もっとゴルフに親しんで頂こうと、新宿御苑に9ホールの皇室専用コースを造った。しかし、日本は太平洋戦争に突入してスポーツどころでない時代に陥り、米軍の空襲で御苑内の建物も被害に遭った。かつてのゴルフコースは消えたが、新宿御苑は現在、四季折々の花木を楽しむことができる「国民公園」として東京のオアシスとなっている。
以前、御苑内の池でゴルフボールが発見されたことがあり、どなたのものか不明のまま事務所に保存されている。昭和天皇のものという声もある・・・。
かつてゴルフコースがあったことを思い起こさせるエピソードだ。
《写真・新宿御苑の新宿門からの風景》
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