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更新日(2021/06/06)

  1957(昭和32)年夏。横浜市保土ヶ谷区にあった程ヶ谷カントリー倶楽部(現在は横浜国大キャンバス)で日本プロゴルフ選手権が開かれた。その頃はゴルフ場の数も少なく、全国で100倶楽部少々。日本ゴルフ協会に加盟している倶楽部数は関東が32、関西は15だった。協会が主催する競技は加盟倶楽部以外では開催しなかった。現在はゴルフ場の数も多く、競技会の開催を歓迎するゴルフ場は多い。しかし戦前からの倶楽部は、ゴルフ普及という大局的な立場からプロ競技のためにコースを解放した。

  程ヶ谷カントリー倶楽部は日本初の18ホール完備のコースで、財界のお歴々が会員として名を連ねていて、会員間の作法やコース管理等が他の倶楽部に比較すると厳しかった。

  この年の日本プロゴルフ選手権は64人が参加し、第1日は36ホールのストロークプレーで上位16人を選抜し、2日目からマッチプレーで争われた。予選はホームコースとなる小野光一と新井進が142打でタイ、小野光一がメダリスト(予選1位)になった。決勝は中村寅吉とマッチプレーが得意の栗原甲子男の争いになったが、コースを熟知している中村が初優勝を遂げ、小野光一とともにカナダカップ(その年秋、日本で開催)の代表に選ばれた。中村にとっては、いわばホームコースだ。かつてキャディーとして働いていたからお里帰りしたようなものだった。

  競技後の表彰式は、名門倶楽部での開催ということもあって、礼節を重んじるプロの一面がうかがえた。参加者は全員背広姿に威儀を正して石井光次郎理事長の挨拶に耳を傾けた。最近は脱帽もせず、カップを受け取る輩もいる。ゴルフ作法の今昔の違いを語る一面だ。

《写真・程ヶ谷CCにおける日本プロゴルフ選手権の表彰式の一コマ》