(28)ホームラン王ルースのゴルフ |
番組名:取材メモ・写真に見る日本のゴルフ史 |
更新日(2021/05/18)
1934(昭和9)年秋、日本にやって来た米大リーグ一行の中に、ホームラン王のベーブ・ルースがいて、日本各地で大変な人気者になったと伝えられている。ルースの来日は、当初≪?≫だったらしい。だが、当時の駐日米大使のジョセフ・グルーが、日米間の険悪な空気を和らげたいとルースの来日を強く希望し、来日が実現したということだ。試合の合間、グルー大使はルースを伴ってゴルフ場に姿を見せた。大使もルースもゴルフ好きで、東京ゴルフ倶楽部、藤沢ゴルフ倶楽部(今はない)を訪れてプレーしている。同伴競技者だった赤星四郎はルースのゴルフについてこう語っている。
『ホームラン王だからといって、驚くようなロングヒッターではない。ドライバーの飛距離はせいぜい250ヤードどまり。スライスが多く、バンカーにつかまった。だが、バンカーショットがうまく、確実にホールに寄せていた』と安定したプレーを褒めていた。
ルースは野球とゴルフの違いについて、こんな意見を持っていた。
『バッティングはフラットなスイング、ゴルフはすくい上げるスイング。動いているボールを打つベースボールと、止まっているボールを打つゴルフとはタイミングが違う。バッティングには目が大切だ。日本の野球選手には眼鏡をかけた選手がいるが、アメリカにはいない。投手は別だけど・・・』と目の大切さを強調していた。それから数年後のことだが、陳清水が米国に遠征した時、ルースは米西海岸での開かれたゴルフトーナメントに出場していたそうだ。ルースのゴルフは単に余興ではなく、本物の力を備えていた、と感心していた。
《写真・ルースとグルー駐日米大使
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