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ゴルフ外交〜キューバのカストロ元首相の友情(その1)〜 番組名:ゴルフ温故知新

更新日(2017/07/23)

  外務省でナンバーワンゴルファーといわれた矢口麓蔵(1899〜1999)はチリ、ビルマ(現:ミャンマー)の大使を歴任し1962(昭和37)年、新たにキューバ大使に任ぜられ、カリブ海に浮かぶ小さな島国に赴任した。その頃、キューバを巡る米ソの対立が世界の注目を浴びていた。折しも1959(昭和34)年1月、28歳の青年革命家のフィデル・カストロが腐敗したバチスタ独裁政権を倒したからだ。カストロはバチスタ政権による自由の圧迫と米国による政治、経済上の圧力からの解放を訴え、国民の支持を集めた。

  1960(昭和35)年2月、旧ソ連のミコヤン副首相がキューバを訪れ、通商協定と借款協定を結んだことから、キューバは反米・親ソ色を強めていった。

  もともとキューバはアメリカ経済に依存するところ大であったのだが、そのアメリカは対キューバの経済封鎖を開始したために米国とキューバ間のみならず、米国とソ連の間までも雲行きが怪しくなり、キューバにはソ連製のミサイルが配置されるに至った。

  時の米大統領のジョン・ケネディはソ連のフルシチョフ首相に『ミサイルの撤去か、それとも戦争か!』と迫り、米国が海上封鎖をしたために第三次世界大戦か、という火種がキューバでくすぶり出した。

  そのような震撼とした情勢下の1962(昭和37)年の9月に矢口は首都のハバナに着任した。ハバナには米国が造った風光明媚なゴルフ場が沢山あるが、矢口にとってはそれどころではない。まずはカストロとの接触と信任状の提出が急務だった。この頃のカストロは身の危険を感じ、ソ連かメキシコの大統領公邸にしか足を運ばないといわれていた。だが意外にもカストロが矢口を訪れたのである。矢口は開口一番『男矢口は五分の小さな男だが、一寸の魂がある。閣下の心情察して余りある』と切り出した。この一言がカストロの心を揺さぶった。

  ここからカストロ=矢口の友情の輪が広がったのである。

《写真・小泉内閣時代に来日したキューバのカストロ首相と小泉総理》