名物ゴルファーが愛したヴォーリズの名建築 番組名:ゴルフ温故知新

更新日(2007/04/17)

 大正から昭和にかけての名ゴルファー室谷藤七氏(故人、神戸ゴルフ倶楽部元理事)が遺した邸宅(神戸市須磨区離宮前町)がこの春、倒壊の恐れ(淡路・阪神大震災で受けた家屋の傷み)を理由に取り壊された。建築家ウィリアム・ヴォーリズ(1880〜1964)の傑作で96年には国登録有形文化財に指定されたほどの貴重な建物だった。ヴォーリズは米カンザス州の出身で明治38年、滋賀県立商業学校(現県立八幡商業高校)の英語教師として来日、その後、建築家として名をあげた。

 神戸で材木商を営んでいた室谷氏が昭和7年、ヴォーリスに依頼して建てたのが、レンガと木造の地上3階、地下1階という規模の和洋折衷のチューダ様式の建造物だった。

 室谷氏死後、長女の尚子さんが相続して住んでいた。『ヴォーリズの成熟期の名作』(建築の専門家)であることから、家人や近隣の住民は文化財としての保存を行政機関に働きかけた。だが改修、移築には巨額の費用がかかることから、不動産業会社(姫路市)に売却され、取り壊しに至ったわけだ。解体工事を目の当たりにした近隣の住民は『残念です』と肩を落とし、持ち主だった室谷さんは『買主の不動産会社から美術館のようにして建物は保存するという言葉を信じて売却したのに・・・』と取り壊しにショックは隠しきれない。滋賀県下でも小学校の建物を巡り同じような事件があった。すでに施主の名ゴルファーはこの世になく、こよなく愛した名建築が容赦なく取り壊される時代。寂しい話ではないか。


【写真は取り壊される前の旧室谷邸】