
静岡県の伊東市は人口約7万人、伊豆半島東側の本州との付け根に位置していて、豊富な湯量を誇る温泉リゾート地である。東京に住む我々から眺めると東京の奥座敷というイメージだ。温泉といえばかつては“貫一、お宮”の熱海が浮かび上がっていたが、JR伊東線の発展によって、その奥の伊東に眼が向くようになった。
その伊東を一口で表現すると、訪ねてよし、泊まってよし、食べてよし、と三拍子揃ったリゾート地という印象だ。
東京から足を運ぶとなれば伊東はJR東海道線の熱海を経由して100キロ余りの至近距離に位置する。東海道線だけでなく、新幹線も利用できるし、東京駅からだと伊東線直通の特急もある。最近は関東北部の高崎からの直通電車も走っている。
東洋一を誇るリゾートホテルとゴルフコース
この伊東には古くから東洋一といわれたリゾートホテルがあり、36ホールの名コースもある。戦後には伊東市を中心に多くのゴルフコースが建設され、大勢のゴルファ―が訪れるようになり、日本のゴルフは伊東で育てられた一面もある。
多くのアマチュアゴルファーが育ち、プロも育った。日本の伝統競技や国際競技の舞台にもなったからだ。

明治22年創業の老舗ホテル『暖香園』の6代目社長の北岡貴人氏(82)は、幼少期からゴルフに親しみ学生時代には関東学生ゴルフ選手権に優勝した名ゴルファーだ。その北岡氏は『日本のゴルフは100年の歴史を刻んだ。ここ伊東を舞台にして多くのゴルファーも育っている。伊東にまつわるゴルフ史とこれにかけた先人の苦闘を後世に残したい』という発想を踏み台に『伊豆・伊東のゴルフ物語』の連載を進めることにした。
《写真・JR伊東駅の表情と暖香園の玄関》