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プロゴルファーのかくし芸〜踊り、替え歌なんでもござれの林由郎さん〜 番組名:ゴルフは時空を超えて

更新日(2012/02/03)

 最 近のプロゴルファーのかくし芸といえば、せいぜいカラオケだろうが、戦前派のプロたちは古典芸能の清元、長唄、謡曲、日本舞踊を得意とする者が多かった。

 先ごろ、他界した林由郎さんはこの領域にかけてはまさに才人。プロゴルフ界切っての芸達者だった。 以前のことだが東京・丸の内の帝国劇場で、浅草で育った芸能人たちによる浅草をアピールする同窓会のような催しがあった。林さんは招かれてかくし芸を披露した。出し物は十八番の『兵隊踊り』だった。

林さんは戦時中、兵役に服していた。その思い出の一端をユーモアとペーソスで表現する踊りだが、驚くことに自前で旧日本陸軍のカーキー色の軍服をあつらえるほどの懲りよう。さらにゲートルを巻き、軍靴を履き、背嚢を背負って小銃を担いで表情豊かに演じる滑稽な踊りは、満場の爆笑を誘った。まさに抱腹絶倒のかくし芸といえるが、残念ながらその映像は残っていない。芸能人の本格的な演芸に、プロゴルファーが招かれるのは異例のことだった。

 関東プロゴルフ連盟(現在は存在しない)が主催する関東プロの月例競技の年度末の締めは箱根・仙石ゴルフコースで行われていた。忘年会を兼ねた大会になり、競技が終わるとゴルフ場好意の宴会になった。帰途は全員、ゴルフ場からバスで小田原に向かったが、バスの中は宴会の延長戦だった。こんな時の主役は林さん。『由ちゃん。やれやれ!』と大向こうから声がかかると、林さんは満を持して登場する。
拍手に送られて林さんは、大声を張り上げ、浪花節や替え歌を披露した。

 『あなたのリードでコースに出たら フック スライスに悩まされ 入れなきゃよかったあのバンカーに これが苦労の始めでしょうか』 神楽坂はん子さんのヒット曲『芸者ワルツ』の替え歌である。

 戦前派のプロに中村兼吉さんという名手がいた。清元の名人としてゴルフの腕前より高く評価されていた。囲碁、麻雀、浪花節の名人もいた。古き、時時代のプロたちは、ボールを打つだけでなく、お座敷芸も身に着けていたのだ。

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